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内部統制の「3点セット」、作って終わりになっていませんか  合同会社BeThere|Blog vol.02

2026/5/14

「3点セットは作りました。でも現場は誰も見ていません」

IPO準備を経験したCFOや管理部門責任者と話すと、高い確率でこんな言葉が出てきます。

「コンサルに頼んで業務フロー・業務記述書・RCMは揃えました。でも正直、現場のスタッフは誰もそれを見ていないし、半年後には実態とズレてしまいました」

内部統制の整備において、「3点セットを作った」という達成感と、「現場に定着しているか」という現実の間には、しばしば大きなギャップがあります。

このギャップが埋まらないまま上場を迎えると、上場後の運用フェーズで問題が表面化します。


なぜ「作って終わり」になるのか

3点セットが現場に定着しない理由は、ほぼ決まっています。

理由①:現場抜きで作られている コンサルタントが経営層や管理部門からヒアリングして作成するため、実際の業務の細かいニュアンスが反映されていない。現場のスタッフからすると「自分たちの仕事が書かれていない書類」になってしまいます。

理由②:言葉が難しすぎる 「リスクコントロールマトリクス」「統制活動」といった専門用語が並ぶ文書を、日常業務の中で参照しようとする人はほとんどいません。

理由③:更新する仕組みがない 業務は常に変化します。しかしドキュメントの更新ルールがなければ、半年後には実態と乖離した「形だけの文書」になります。

理由④:「なぜ必要か」が伝わっていない 「監査法人に求められているから」という理由だけでは、現場のスタッフに当事者意識は生まれません。


内部統制が「機能する」とはどういう状態か

内部統制の本来の目的は、不正や誤りを防ぎ、業務の有効性・効率性を高めることです。J-SOXへの対応はあくまでその手段であり、ゴールではありません。

内部統制が「機能している」状態とは、以下のような状態です。

  • 現場スタッフが、なぜその手順が必要かを理解している

  • 承認フローや記録のルールが、日常業務の中で自然に守られている

  • 問題が起きたとき、誰がどう対応するかが明確になっている

  • ドキュメントが実態に合わせて定期的に見直されている

逆に言えば、3点セットが揃っていても、上記が実現できていなければ内部統制は「形だけ」です。


定着させるための3つのポイント

では、内部統制を現場に定着させるには何が必要か。私たちが実務の中で重要だと考える3つのポイントをお伝えします。

① 現場のリアルから作る ドキュメント作成は、現場スタッフへのヒアリングから始めてください。「実際にどうやっているか」を丁寧に聞き取ることで、現場が「自分たちのことが書かれている」と感じる文書になります。

② シンプルな言葉で書く 専門用語はできるだけ避け、現場スタッフが読んで理解できる言葉で書く。フローチャートや図を活用することも効果的です。

③ 更新のルールを最初に決める 「誰が」「いつ」「どのタイミングで」ドキュメントを見直すかを、整備と同時に決めておく。半年に一度の棚卸しタイミングを設定するだけでも、陳腐化を大きく防げます。


上場後を見据えた「自走できる体制」を

IPO準備における内部統制整備のゴールは、上場審査を通過することではありません。上場後も、自社のスタッフが主体的に内部統制を運用・改善し続けられる体制を作ることです。

外部の専門家に頼る期間は、あくまで「自走できる状態になるまでの伴走期間」と捉えるべきです。

「先生と生徒」ではなく「並走するパートナー」として、現場に入り込みながら一緒に体制を作る。そうして作られた仕組みだけが、長く機能し続けます。


まとめ

内部統制の整備で陥りがちな「作って終わり」の罠。その本質的な原因は、現場の実態から離れたところで整備が進むことにあります。

監査法人に提出できる書類を作ることと、組織に内部統制を根付かせることは、別のことです。上場後も機能し続ける内部統制を作るためには、「定着」を最初から設計に組み込む必要があります。

「うちの内部統制、本当に現場で機能しているのか?」と感じているなら、まずは現場の実態を確認するところから始めてみてください。


合同会社BeThereでは、内部統制の構築から現場定着まで、実務家として伴走支援しています。J-SOX対応・内部監査代行についてもお気軽にご相談ください。